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第一回 日本中医会 学術大会 開催される!

2023文化祭、開催される!

 日本中医会は、日本中医学院の卒業生を中心に構成された学術団体であり、中医学・東洋医学・未病先防普及を目的として発足、活動を行っています。

 その活動の一環として、7月15日に「第1回日本中医会学術大会」を行いました。会員の有無に関わらず広く参加者を募り交流を目指した、本会主催による初めての試みです。

 大会共通テーマは『家族を守る中医学 ー 中医学を家庭から見つめてみよう ー』。

 中医学への知見が深く医療現場でも第一線で活躍する方々を講師陣に迎え、身近な疾病を中医学の視点から掘り下げてお話しいただきました。大会中の講演の様子を少しですがご紹介できればと思います。

【基調講演】 『身近にある炎症とその対策』 鄒大同先生

 第一回学術大会の【基調講演】では、ガン(腫瘍)を長年専門にされてきた鄒大同先生(中医学講師・医学博士)から、『身近にある炎症とその対策』を演題にお話しいただきました。

 まず、炎症とは?について、西洋医学と中医学の各々の視点から見た際の捉え方の異同について触れられ、最後に中医学における現代薬理学から腫瘍にアプローチする内容では、日本人の2人に1人が発症するとも言われるガンという国民的病に対して、学術大会の共通テーマである「家族を守る中医学」にふさわしく参加者の注目を引くものとなりました。また民間薬と呼ばれる中国の伝統薬の果たしてきた役割や薬店の話しでは、会場の先生方からも興味を引く反応がありました。

 2時間に渡る長い講義となりましたが、鄒大同先生の熱の入った講義に、参加者からも有意義な話が聞けたというお声をいただきました。

※ 鄒大同先生の漢方相談を受診したいというお声もありましたので、こちらに鄒大同先生が所属している薬店をリンクしておきますので、ご希望の方はリンク先からお問い合わせください。

【中医学シンポジウム】 韓涛先生・呉晨輝先生・桜林玲子先生

 【中医学シンポジウム】では、本会の瀬戸郁保会長と千葉浩輝医師を司会に交え、日本中医学院の講師陣3名の先生にミニ講座(20分)をしていただきながら、その後各テーマ毎に司会や参加者からの質問に受け応えるというスタイルで行いました。

 各先生のミニ講座は以下のような内容でありました。

① 麻子仁丸の頻尿治療の解析(韓涛先生)
② 眼精疲労撃退(呉晨輝先生)
③ 風邪の予防(桜林玲子先生)

 各先生、家族に多い悩みですので、家族を守る立場にいる方々にはとても参考になったのではないでしょうか。
 ①の麻子仁丸の講義ですが、通常、麻子仁丸というと腸燥の便秘に使われるものですが、これを頻尿の治療に使うというのは、韓先生ならではの発想で興味深いものでありました。
 ②の眼精疲労の講義は、中医学眼科を専門にする呉晨輝先生の得意分野ということもあり、解剖図を使いながら多くの示唆をいただきました。
 ③は薬膳科の講師をしている桜林先生による『風邪の予防』です。一般的に、風邪というものは4〜5日もすれば寛解するものなのではありますが、しかし、こじらせて長引かせてしまうことがあるのも事実。こじらせることがないような予防のポイントをわかりやすく教えていただきましたが、日本が置かれている社会環境の問題についても話が飛びました。風邪をとりまく諸々の環境が身近な問題ゆえと感じました。

【講演】『中医学の小児科  ー 現代生活スタイルを考えてみる』

 本大会最後の【講演】では、先述の千葉浩輝先生に『中医学の小児科 ー現代生活スタイルを考えてみる』をテーマにお話しいただきました。
 千葉先生は、医学博士・小児科専門医・国際中医師として活躍され、日本中医学院の卒業生でもあります。
 中医学における小児科の歴史を踏まえたうえで、大人とは異なる小児に特徴的な生理的・病理的特徴を「稚陰稚陽」という言葉を用いながら、分かりやすくお話しいただきました。また、現場で活躍される千葉先生ならではの内容として、現代社会の環境の変化に伴って子どもの生理的・病理的特徴も変化してきており、処方薬についても、講師の先生方や会場・オンライン参加者からの積極的な質問にもお応えいただく様子が印象的でした。

※ 千葉先生に関しては、本サイトの連載シリーズ『中医学とわたし』にも掲載されておりますので、こちらもご覧ください。

最後にご挨拶にかえて(日本中医会・会長 瀬戸郁保)

 今回、日本中医会初めての試みとして学術大会を主催いたしました。
 無事に学術大会を終えられましたのも、各方面よりご協力いただきました皆様のご協力のお陰と感謝申し上げます。

 思えば、私が人生初めてとなる学会に参加したのは、鍼灸師になりたての2000年に開催された全日本鍼灸学会でした。当時鍼灸師になりたての私は、この学術大会に参加してとても胸を熱くした思い出があります。この学術大会で仲良くなった鍼灸師とはいまだに交流がありますし、私の鍼の先生の一人もここで出会いました。
 そんな思い出があったため、僭越ながら、そのような感動を同窓生とともに共有できないものかと発案し、これは私にとって悲願とも言えるものでありました。
 今回、開催にあたりいくつかの困難がありました。集客はできるのだろうか?学術だけの地味なものが受け入れられるだろうか?シンポジウムを企画したけれど盛り上がるだろうか?そして、私の気持ち一つで見切り発車した形になったので、周りに理解をいただけるだろうか・・・。
 そんなさまざまな困難が去来する度に投げ出したくなる思いでおりましたが、皆さまの温かいご協力のもと、なんとか成功裡に収めることができたのは感謝しかありません。これを一つの基礎にして、2回、3回と会を重ねていけたらなと思います。

 日本中医会は日本中医学院(旧北京中医薬大学日本校)の同窓会・校友会です。みなさまの活動がより充実したものとなりますよう、今後も中医学・東洋医学・未病先防普及を目指し様々な講座を開催予定です。同窓生・交友、みなで中医学を盛り上げていけたらと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

日本中医会では会員を随時募集しております。詳細はぜひこちらのHPをご覧ください。

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