日本中医会・交流・コミュニティー

中医学を語るうえで欠かせない「気」。「気」という見えないものを軸としている中医学は、実際に人の心身を健康にできる医学で、中医学の魅力の源は気功にあると思っています。
皆さんには、それぞれが実感して魅力を感じてほしいです。
田邉和子先生
養生気功塾 塾長
一般社団法人全日本混化気功協会 理事

連載シリーズ『中医学とわたし』 File No.3

一般社団法人全日本混化気功協会 理事
養生気功塾 塾長

田邉和子先生


医学気功整体専科・中医中薬専攻科

中医学にご興味をもったきっかけはありますか?

 30代後半になったときに、自分のことを振り返る余裕ができ、ふと、これからの人生、まともに過ごしていけるのだろうか?という思いが湧いて出たことがきっかけでした。

子供のころから、大きな病名こそつかないものの、小さな不調は当たり前のように持ちながら過ごしてきました。病院も、入院するほどではないけれど、週に数回は学校を早退して通院という時期もありました。それが私にとっての日常だったので、就職して激務をこなしているときに様々な不調が出ても、私にとっては特別に気にすべきことではないと捉えてほったらかし。。仕事優先の日々。

 結婚を機に会社を辞めからもそれは変わらないままでした。そんなある日、「このままで良いのかな」という思いが湧いてきて、ネットで「東洋医学」に近い言葉(はっきり覚えていませんが)で検索して「中医学」を知ったのが最初です。この時、大きな出来事があったわけではないのですが、直感的に湧いて出た思いがきっかけになりました。そこからは、調べれば調べるほどに興味を持ち、共に出てきた「アーユルヴェーダ」と「中医学」で迷いました。いきなり中国に一人で行くのは心配だったこともあり、まずは「アーユルヴェーダ」かなと思い、1年間スリランカにアーユルヴェーダ留学を計画したのです。しかし、直前で行けなくなり、その時に、私にはアーユルヴェーダとはあまり縁がないと感じました。これで、もう迷わず「中医学」です。再度、中医学を学べるところを探して通うようになり、今に至ります。

現在のお仕事内容はどのようなものですか?

養生気功塾という名で「気功レッスン」「気功教室」の指導をメインに活動しています。
一般社団法人全日本混化気功協会では、理事として気功の普及活動をしています。他に、気功講座・指導者育成などもしています。

お仕事で大切にしていることはどんなところですか?

 私自身の経験から、「気功を日々実践することで現実を変えていけること」を大切にしています。気功と言うと、「怪しい」「よくわからない」と思われがちですが、「今の状況を“見えないもの”ベースでととのえて変えていけるもの」だという部分を伝えています。そういう指導が、困っている方に必要だと感じています。

この仕事についてよかったなと思うところは?

 まずは、自分が変わったことです。生まれつきの不調体質も、生まれて初めて改善できたので、ある意味、生まれ変わったような気分です。
とはいえ、私が変われる要素はまだまだたくさんあります。しかし、気功と出会えたことで、一生、気功とともに生きていこうと思え、それは、かけがえのないお守りのように、心からの安心感をもたらしてくれました。それを、自分だけのものにしないで、ご縁のある方々と共有していくこと。それが、気功を仕事にしてきてよかったと思えることです。

先生にとって中医学の魅力とはなんでしょうか?

 伝統的な内容である点が一番魅力だと思っています。多くの先輩たちの経験があって、それを整理しまとめられたもの。その智慧を今の私たちが受け取っているというところです。人として本当に必要なことがあると思います。

先生にとって気功の魅力とはなんでしょうか?

 中医学を語るうえで欠かせない「気」。「気」という見えないものを軸としている中医学は、実際に人の心身を健康にできる医学で、中医学の魅力の源は気功にあると思っています。それは、昔の有名な中医師たちが気功師だったことからもわかると思います。そして、さらに、医学の範囲にとどまらない気功を知り学んでいくうちに、『全員、気功をやればいいのに』と思うことも‥。この辺は、言葉ではうまく表現できないのですが、「私たちは気の世界で生きているのだから・・」という感じです。皆さんには、それぞれが実感して魅力を感じてほしいです。

北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で学んでよかったと思うところは?

一番の魅力は、「本場、中国の信頼できる教授陣」だと思います。中国研修などの機会もありますし、中国人の教授たちとの交流を通して、本場の空気を感じながら学べると思います。

北京で開催された国際気功学会に参加されたご感想などお聞かせください。

北京で開催された国際気功学会に参加されたご感想などお聞かせください。

これまでに、三回ほど参加させていただきました。
多くの気功師の先生方との交流、一緒の練功、臨床の論文と、普段できないことをたくさん体験できました。気功科の宋海君教授の論文発表の際は、普段の授業とは違う学びとなりましたし、あらためて素晴らしい教授なのだと感じることもできました。
ただ、開催年によってその開催規模に大分違いがあり、それが行くまでわからないところは残念に思うところではあります。しかし、貴重な機会であることは間違いありませんでした。気功を広く理解するのに役立つと思います。

在校生に伝えたいことは?

 気功の学びはとても奥が深いので、なかなか理解できないということも多いと思います。私もそうでした。今だから言えることですが、気功を理解する際は、言葉の裏にある言葉にならないことに気づけるよう、そのために気功法を続けるしかありません。授業で毎回実践する「仙人長寿功」を、ぜひ家でも一年間続けてみてください。丁寧にやっていくと、丁寧な結果が出ると思います。気功は、気功法を日々実践することが何よりポイントですので、楽しみに続けてほしいです。卒業後は、研究科という続けられるクラスがありますので、焦らず丁寧に学んでいただくといいのではないかと思います。まずは、気功を楽しみにちょっとがんばってほしいです。

卒業生に伝えたいことは?

 気功科の授業内容は幅広く充実していますが、1年間のクラスだけでは、どうしても気功の最初の一歩という感じですね。もちろん、正しく最初の一歩を踏み出せるのはとても大事です。しかし、それだけで終わらずに、できれば、「命の本質の学び」をより深めてほしいと思っています。それがどんな形であっても良いので、気功を続けてほしいと思うのです。
医学は“他人に対して”を考えることが多いですが、まずはぜひ、“自分に対して”気功を活かしてほしいと思っていますし、その延長線上に、多くの人に手を差し伸べる道が待っているように思います。そんな思いを持ちながら今の仕事をしています。困ったときには、お気軽に声をかけてほしいと思っています。これからも、一緒に気功を深めていきましょう。

先生の今後の目標や展望をお聞かせください。

 世間の気功のイメージが歪んで偏っているため、今は「気功」が困っている人の選択肢にもならない、それどころか敬遠されることすらあるので、本当にもったいないと感じています。困ったときに「やってみようかな」と気軽に選んでもらえるくらいまで知っていただければ、きっと気功がお役に立てるのではないかと思っています。
養生気功塾と、一般社団法人全日本混化気功協会で、そういった気功の普及活動と、さらに人材育成をコツコツとやっていきたいと思っています。

田邉和子先生のプロフィール

無極自然門気功師・無極自然門国際気功師・医学気功整体師・国際中医師

20代は企業の情報システム部門でプログラム開発に携わる。
30代になり福祉の資格を取得して介護施設に勤務。
2005年 医学気功整体専科に入学
2006年 医学気功研究科へ進み、中医中薬専攻科へも編入
2008年 国際中医師取得
2006年 推拿整体院にて推拿施術と気功教室を始める
    友人、知人からの依頼で自宅(品川区)でも気功レッスンを開始
以来、気功レッスンの指導、気功講座、気功施術などで活動
「行政の気功講座」「企業の気功講座」「漢方スクールのワンデイ講座」「薬科大の気功講座」などを担当
2016年 気功仲間と「一般社団法人全日本混化気功協会」を立ち上げる
気功を正しく知ってもらう普及活動と指導者育成活動を行っている