第3回『実践する食養生のススメ』の講義補足
方剤の補足
冠心II号方(かんしんにごうほう)
1960年から70年代にかけて、中国では高齢者の心血管病が多発していましたが、毛沢東主席も心臓病を患っておりました。そこで、中央政府の指示によって心臓疾患の研究組織が作られ、新たな漢方薬の開発が勧められました。李連達教授を中心に、ベテランの中医師たちが率いる研究グループは、1957年からコレステロールや中性脂肪が原因で血液がドロドロになる、中医学でいう「瘀血」による心臓疾患の治療薬の研究に着手します。研究開始から10年後の1967年に「冠心Ⅰ号方」が開発され、さらに1971年にはその改良型である「冠心II号方」が完成されます。
日本では、イスクラ産業株式会社がこの「冠心II号方」を元にして1991年に「冠元顆粒」を発売しました。「冠元顆粒」は「冠心II号方」の成分の一つである降香を木香と香附子に替えた改良処方で、これによって従来の心血管系疾患治療だけでなく、高血圧による頭痛や肩こり、動脈硬化、慢性肺性疾患などの生活習慣病の予防と改善に顕著な効果を持つことになりました。
今回の講座内に出てくる「冠心II号方」は、「冠元顆粒」のことを指します。
冠心II号方の組成
丹参、川芎・赤芍・紅花・降香
冠元顆粒の組成
丹参、紅花、川芎、芍薬、木香、香附子
当帰養血膏(とうきようけつこう)
「当帰養血膏」は、もともとは中国で考案された漢方処方で、何百年も使用されています。中国では「阿帰養血糖漿」という商品名で流通しています。
講座内では特定の商品名を挙げることははばかれますので、一般名称である「当帰養血膏」を使用していますが、劉桂平先生が使用しているのは、イスクラ産業株式会社の「婦宝当帰膠」になります。
気血両方を補う処方に「八珍湯」がありますが、これは「四君子湯:人参、白朮、茯苓、甘草」と「血」を補い、血燥を潤す「四物湯:当帰、川芎、芍薬、地黄」からなっています。婦宝当帰膠は、八珍湯をベースに、当帰を増量し、阿膠を加えた処方になる。
亀鹿二仙膠(きろくにせんきょう)
「亀鹿二仙膠」もまた、中国で考案された漢方処方です。亀板、鹿角という補腎の生薬が入ったものとなります。
講座内では特定の商品名を挙げることははばかれますので、古医書に出てくる「亀鹿二仙膠」という名称を使っていますが、劉桂平先生が使用しているものは、「亀鹿二仙膠」を元に組成されたイスクラ産業株式会社の「星火亀鹿仙」が相当となります。ただし、「星火亀鹿仙」は健康食品扱いとなります。
本講座資料に出てきた本の補足
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